まず、企業がセキュリティを強化すべきポイントはいくつもあります。
その中で特に重要なのは、「エンドポイントセキュリティ」になります。
ここがおろそかになっていると、企業はいつ脅威の餌食になるかわかりません。
今回は、エンドポイントセキュリティの重要性や具体的な方法について解説しますので、ぜひご覧ください。
エンドポイントセキュリティの概要
“エンドポイント”は、“末端”あるいは“終点”を意味する言葉で、企業においては社内用ネットワークに接続されたサーバやパソコン、スマートフォンなどを指しています。
また、これらのエンドポイントにおける脅威であるウイルス感染、内部不正などを防ぐための対策が、今回解説する“エンドポイントセキュリティ”です。
企業にとっては、もっとも身近なセキュリティ対策といっても過言ではありません。
なぜエンドポイントセキュリティは重要なのか?
近年、企業においてエンドポイントセキュリティの重要性は著しく高まっています。
その大きな理由としては、ここ数年の”働き方“に大きな変化がもたらされたことが挙げられます。
以前は、企業での働き方といえば、1つのオフィスに社員が集まり、始業時間や終業時間を定めて行うという形が一般的でした。
しかし、現在は場所や時間にとらわれないテレワークを導入する企業も増えています。
また、なぜテレワークがエンドポイントセキュリティの重要性に繋がるのかというと、従来よりもエンドポイント環境の範囲が広くなるからです。
例えば、社内で業務を行う場合、社内サーバあるいはデスクトップPCのセキュリティ対策さえ行っていれば、かなり効果のあるエンドポイントセキュリティが実現できました。
ただ、今は社用のノートパソコンやスマーフォン、タブレットなどを持ち歩く社員も増えていて、社内でのエンドポイントセキュリティだけでは、脅威を防ぎきれなくなっています。
エンドポイントセキュリティの具体的な方法
では、ここからは、今一度企業に知っておいていただきたい、エンドポイントセキュリティの方法をいくつか紹介します。
具体的には、主に以下の通りです。
- HDD暗号化
- マルウェア検知
- ID管理
- 検疫ネットワーク
HDD暗号化
社外に持ち出すノートパソコンの盗難、紛失による情報漏えい対策として、“HDD暗号化”はとても有効な手段です。
データをフォルダ、ファイル単位で暗号化するのではなく、OS領域やシステムファイル領域を含めたハードディスクを丸ごと暗号化します。
また、HDD暗号化とメモリーの間を通るデータは、HDD暗号化ソフトを介して自動で暗号化・復元されるため、ユーザーが自発的に暗号化する必要はありません。
ただ、これだけではファイルそのものを暗号化できないため、持ち出すファイル自体を暗号化したい場合は、その単位に対応したツールを別途用意する必要があります。
マルウェア検知
マルウェアの検知は、セキュリティ対策ソフトを駆使して行います。
中でも効果的と言われているのが、セキュリティ対策ソフトで行う“ヒューリスティック検知”です。
これは、マルウェアに特有のパターンを照合するのではなく、マルウェアの特徴的な動きの有無を調べる方法であり、未知のマルウェアにも対応することができます。
また、検出できるマルウェアも多いのですが、稀に誤検知が発生することもあります。
ただ、多くのセキュリティ対策ソフトは誤検知に対抗するため、特有のパターンを照合する“パターンマッチング”とヒューリスティック検知を併用し、マルウェアを検知しています。
ID管理
情報システムにおけるアカウントや人事情報といったアイデンティティー情報と、そのアクセス権限情報のライフサイクル管理を“ID管理”といいます。
企業のエンドポイントにおいて、正しい利用者を“認証”し、業務に必要なITシステムや情報を正しく利用するために“認可”させる役割を持っています。
また、企業内においては、ITガバナンスの向上やコンプライアンスなども、ID管理の1つの目的とされています。
検疫ネットワーク
社内ネットワークに接続するエンドポイントを検査するセキュリティツールを“検疫ネットワーク”といいます。
具体的には、OSパッチやウイルス対策ソフトの定義ファイルが最新でないなど、十分なセキュリティ対策が取られていない端末を、社内ネットワークに直接接続させず、隔離するものです。
情報漏えいの防止や、ウイルスに感染した端末の排除、運用コストの低減といったメリットがあります。
ちなみに、検疫ネットワークという名称は、空港などで行われる荷物の検疫に似ていることから名づけられました。
まとめ
ここまで、エンドポイントセキュリティの重要性や具体的な方法を見ていただきましたが、いかがでしたか?
企業の働き方は、これからもさらに多様化することが予想されます。
特に、テレワークやサテライトオフィスなどの導入事例は、今後も増え続ける一方でしょう。
ただ、そのような時代の流れに対応するには、より多くの企業がエンドポイントセキュリティへの意識を高めなければいけません。